2/11-12:ムエタイなにほひ
チャウエンビーチ沿いの町並みは昼間こそ人が少ないが、夕方近くになるとビーチから人が流れてくる。レストラン、タイ式マッサージ、お土産屋が大賑わいを見せ始める。そんな夕暮れから1台の軽トラックがけたたましく町並みを往復し始める。荷台には大きな看板が掲げられており、スピーカからは大音響で宣伝が流れる−
"Tonight. Special MUETAI fighting show
at Chaueng Stadium!!"
BGMにはタイ特有の"ほにゃらら〜"系の音楽が流れる。
ああ、これが噂に聞いたムエタイだ。当初観戦予定は無かったのだが、何度も宣伝を聞くと気分が盛り上がり始めたのは、南国特有のディープ雰囲気だからであろうか。
ムエタイとは
ムエタイとは、かって日本でも一世を風靡したキックボクシングのことで、立ったまま勝負する格闘技では世界最強といわれている。空手、ボクシング、プロレスなどのルーツともいわれ、さまざまな格闘技の選手達がタイに修行へ出かけることことも多いそうだ。ムエタイはタイの国技であり、国内各地で開催されているようだが、まさかサムイ島のような小さな島にもリングがあるとは思わなかった。
2/12夜:ムエタイな気分
盛り上がった気分は灼熱の地で自然に収まるはずもなく、結局行くことになる。
「さてチャウエンスタジアムはどこかいな?」とホテルのフロントで尋ねると、だいたいの場所を教えてくれたが、開演時間も近かったので街を往復している乗合バス(のようなもの)に乗ることに決定。手を挙げると止まってくれるが、約30Bahtにて交渉成立。がたがた道を通り約5分ぐらいで到着した。
会場はスタジアムというよりは、昔懐かしいサーカス小屋のような雰囲気だった。
チケットはVIP/リングサイド/その他に別れており、確かVIPは1000Baht(約\2700)、それ以外は500Baht(約\1350)だったが、あまり会場から熱気が伝わってこなかったのと、お財布の助言で500Bahtに決定。(結局、正解でした)
21時ごろだったので外は既に暗かったのだが、おそるおそる入る会場も結構暗かった(こんなところでいきなり襲われたらアウト)。ぱーっと視界が開けると、そこにはカクテル光線にて光り輝くリングがあった。幸いにもまだ試合は始まっていないようで観客もまばらだった。よく見ればリングは、無数のムエタイ選手を育てて来た栄誉の汚れが目立つ。
チケット売り場で紙切れ一枚のプログラムをもらったが、今晩は約10試合が予定されている。後になるほどメインイベントとなるわけで、目の肥えた客などは最初から観戦しないのであろう。
2/12夜:ムエタイ炸裂!
[試合風景]←みにくくてすみません

期待に胸を弾ませて、試合開始を待った。
やがてサーチライトが縦横無尽にリングを照らし、勇ましいテーマソングが流れてきた。試合開始に合わせて観客が増えてきた。いよいよ選手の入場---胸が高鳴る!
あれ???ちびっこじゃん???
身長は140cmぐらいだろうか、どこから見ても小学生である。全体的に多少細さは感じるが、その体は鍛えこまれて鋼のようだ。体には油が塗られているようで、肌の黒さが際立ち光り輝いて見える。自分の体を見て、その締りのなさには笑うしかない。
選手の紹介の後、神聖な儀式が始まった。タイ特有のほにゃららあ〜音楽に合わせて選手が舞う!。まるで鳥のモノマネのような踊りである。リング隅のコーナーには勝利の神様が居るようで、グローブをくっ付けて深く祈りを捧げている。正にこれから戦う男達の神聖な儀式といえるだろう。(といいながら、鳥の踊りでは笑ってしまいましたが....スマン)
1ラウンド3分間、5ラウンドで死闘が繰り広げられる。
ひざを突き上げ、ゆっくりまわす動きがまるで獲物を狙う蛇のような動きをしている。ボクシングに比べるとパンチの破壊力を感じることはなかったが、足技は攻撃に入るとまるでムチのようなしなやかさを見せる。スネはまるで研がれた鋭い刃物のような光を放っている。
ぴゅん、ぱちん!快心の一撃が決まると相手はマットに沈んだ・・・
勝負する男達
500Bartの一般席だったが、リングからは5m程度しか離れていなかったので、ムエタイの迫力を充分に堪能することが出来た。
リングサイドには、次の試合を待つ男達が会場の熱い熱気と対照的に静かに勝負の時を待っていた。改めて近くで見ると、鍛えられた肉体でありムダというものが一切感じられない。もし近づけば、あの電光石火のような攻撃が飛んでくるような錯覚さえするだろう。それほどまでに鋭い眼光を放っていた。
全10試合も後半になってくると見ごたえのある試合になってきた。
賭博の対象になっているのだろう、地元の熱狂的なファンも大勢詰め掛け、攻撃ごとに大きな歓声があがる。
1人だけ西洋人のムエタイ選手が居た。
西洋人の観光客からの大きな歓声で彼はリングに迎えられた。その日一番の盛り上がりだった。対戦相手は背丈こそ同じくらいだったが、細い体格の地元青年だった。その青年には申し訳ないが、西洋人の勝ちだろうなあと思った。おそらく、興行者は西洋人のサービスのためにこうした試合を設けるのだろう。
しかし、その予想は一瞬のうちに裏切られる。
勝負の行方は体格ではなかった。細いながらも鍛えぬかれた地元青年の肉体とハートはニクイほど冷静に西洋人に襲い掛かる。攻撃にムダがまるでない。最初に西洋人選手に向けられた激励の歓声は次第に静寂となり、だんだん地元青年のすばらしい攻撃を褒め称える歓声に変っていった。わずか3ラウンド、体格に勝る西洋人がリングに沈んだ。
勝負の行方を見た目で判断してはいけない。どれだけ鍛えてきたか、冷静に勝負所を把握して、その機を逃さないかがカギを握る。学ぶところは非常に多い。
歩いて帰る
全ての試合が終わると、夜の12時近くになっていた。
熱闘の後で興奮しきった体を冷ますために歩くことにした。
辺りは舗装されていない道、若干の街灯。数件のバー(草木で屋根を葺いたオープンな南国風のバー。雰囲気はあるがヤバイ空気も感じる)を横目に帰宅の途についた。
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